2020年3月31日火曜日

目的ホスト用のベクターに欲しい遺伝子を組み込んだものを買い、サブクロを省略@ベクタービルダー_#558

[研究] ベクター作成や変異導入等、サブクローニング関連は外注するほうが効率が良いのではないかという意見。数ある外注先の中でも、プラスミド作成において、目的の遺伝子をホスト用のベクターに入れた状態で買えるベクタービルダーのサービスを最近よく使ってます (研究費の他にも、実は自腹でも買えます笑)。他の企業の同様のサービス (GenScript等)も、おいおい張っていきます。

サブクロをサボり、目的のホスト用の (大腸菌や昆虫細胞等) ベクターに入っている状態で買うことが多いです。この方が費用対効果が高いと思うのです。(目的遺伝子を増やして、遺伝子を別のホスト用ベクターに移し、なおかつシークエンスを確認するのは費用対効果が低いと言いたい。それで論文をかける仕事になることは少ない。) 特に、複数の変異を同時に入れたいときと、もってない配列を注文したいときに良く使います。
最近経営者路線で、費用対効果が小さい仕事を敬遠しがちなのですが、その一つにサブクローニングがあります。バイオ系の研究では、大腸菌や酵母、ゼブラフィッシュ等、目的の細胞等でタンパク質やRNA等を発現する場合に外来DNAをプラスミド (環状DNA) やウイルスベクター等に挿入することはよくあります。一般に、導入したい遺伝子が所属等にある場合、誰かから提供してもらえる場合は、その遺伝子を切り貼りするなどして、入れたいものに取り込める状態にします。もしその遺伝子を持っていない場合は、外注することになるのですが、多くの外注先は、完成系で売ってくれない場合が多いです。例えば、その会社指定のプラスミドDNAに挿入されている場合、 (いったん増やして目的のものに挿入する必要)、環状になっていない二本鎖DNA (不安定で早めに挿入する必要) の状態で納品される場合が多いです。そうすると、目的のものに乗せ換える等、もうひと手間か二手間かかります (PCRや大腸菌等に形質転換して増やし、それを調整し、更に配列を読んで確認する等)。

それだったら、どうせ外注するなら、目的の配列が目的のベクターに挿入されている状態で買ってしまう方が楽だし費用対効果が高いと思います。

例えば、
①まだ持ってないタンパク質遺伝子の購入
400~450アミノ酸からなるタンパク質をpETベクターに挿入し、タグも挿入、コドンを大腸菌に最適化した状態で購入→約67,000円+税。
②変異体の作成
約200アミノ酸からなるタンパク質をすでにこちらで保有しているプラスミドに挿入 (こちらから送付)。変異箇所が5か所以上でまばらなので、自分でひとつずついれると面倒なので (正しく変異が入っているか等も配列を読んで確認するとそれなりにお金と時間がかかる)、全部合成を依頼。→約50,000円+税。

私の場合h大腸菌を用いたタンパク質発現が多いですが、ベクタービルダーでは、shRNA SensorベクターやgRNA and Cas9 Coexpressionを用いる発現系等も外注できます。正直、つくるところにあまり手間とお金をかけたくない、と私は思います。そしてお金は、設備や試薬等一式そろえるより外注のほうが理にかなっている印象を私なら持ちます。

同様のサービスを列挙していきます
アメリカの主要な遺伝子合成サプライヤー。基本はpUC系のベクター等の既定のベクターで納品だけど、こちらがベクターを送付 (ろ紙に4μg程) すれば、任意のベクターに組み込んでくれる。遺伝子合成の他に、コドンオプティマイズや変異導入等にも対応。情報はユーザーに帰属することを明記 (他目的で利用しない&すぐ破棄) しているのも魅力。価格等は↑リンクへ。


実際、サブクローニングに必要なな試薬一式をそろえるより、時間 (手間)、費用、スペースの観点から見ても、こちらのほうが都合が良いのではないかと私は思うのです。ビッグラボならお金をかけて手間を節約するという考え方。スモールラボなら、あえて設備投資とスペース等、資源を節約することができるのではないか、という所感です。実際、これだけだと、論文や発表等の成果につながることは稀で、これを作った後に何かしらの測定をすることで成果となることが大半です。従って、作ったあとのフェイズに集中するほうが合理的なのではないか、と私は思うのです。

たとえば私なら、少なくとも年間10万円くらいは株の配当金で賄えるので、研究費に無関係な枠として想定することも可。

従って、サブクロに関しては、点変異や欠失程度、多少の切り貼りくらいに設備を抑えると良さそうに思ってます (PCRはインキュベーターを兼ねる等)。

0 件のコメント:

コメントを投稿