2017年10月30日月曜日

評価されなかった人が逆転勝ちする戦略_僕はウサギではなくカメを目指した_#21

先日研究所の一般公開にて、何で博士になったのか聞かれることがありました。
もちろん、やりたいことがあるらですが、ここで書くのはそれじゃない。
現実問題やりたいことが出来るとは限りませんよね。そこに食い下がったお話。
こんにゃくじゃないよ笑

初めに、研究の業界の話と僕のエピソード
プロとして研究の業界でやっていくためには
・立場(研究することのできる地位と生活費を工面できる環境)
・論文、講演(新しい発見の報告)
・研究資金(自分で獲得したり、誰かのグループに属したり)
などが必要になります。
国内外の研究者らとの激しい競争に勝ち抜き、これらを獲得するのです。
要するに、競争社会です(実際はそれだけではありませんが)。

大学や研究所などで研究をやりたければ、通常は博士号 (Ph. D.) が必要です。
博士号をとるためには通常大学卒業後、修士、博士過程を経るわけです。
多くの理工系の研究は数人から数十人前後の研究室で行われます。
大学の学部までは講義や実習が中心ですが、修士以降は研究が中心になります。
学部、修士は単位(論文含め)をとれば卒業できますが、博士だけは違っていて
論文などの業績が一定数に達していないと卒業の審査が受けられないのです。
成績云々とかではなく、研究の成果で評価されるということです。

ここからが僕の話
僕は、自分のやりたいことをするためにプロの科学者になりたいと思っていました。
当然のように博士過程に入ったわけです(研究室を変えました)。

ここで大きな問題が立ちふさがります、、、
進めば進むほど競争がついてまわるのです。
僕は修士時代、業績(論文や学会発表)がありませんでした。
実際には、それなりに手を動かして実験していたと思っていますが、
業績ゼロというのは外部の人から見れば終始遊んでただけの人と同等の評価です。
すくなくとも、それはない。
いわゆる底辺扱いのようなもので、僕は納得がいかないし、屈辱だと思っていました。
(これにはいろいろと事情がありますが、そこに踏み込んでもしょうがない)
僕本人としては実際はやってきたことがあるから勝負できると思ってました。

現実問題、いろんな応募をしようにも、業績ゼロでは採択が難しいわけです、
書くことがなければ、見かけは何もしてないのと一緒なんでね笑
つまり、僕が学者になるために、なった後に活躍したいなら、
周りより短い時間で、先行している人達と同等かそれ以上の成果を出す必要がある。
周りは多かれ少なかれ、成果を世にだしてる人がほとんどですから
僕の立ち位置は、圧倒的に不利だったのです。
熱意や実力は必要ですが、それだけではどうにもならないわけです。
それでも勝機があると思ったから進んだのです。


ウサギとカメの話
最近、凄く考えさせられる話を見聞きしたので紹介しますね。(1)

====京井良彦の3分間のビジネススクールから引用====
イソップ物語の有名な寓話に「ウサギとカメ」という話がありますよね。 ウサギとカメが、かけっこをしていて、ウサギが油断をして昼寝をしていたら、カメに抜かれてしまったという話。この話の教訓は、「能力があっても油断をしてはいけません」とか、あるいは「能力がなくてもコツコツと地道な努力を続ければ報われる」というのが一般的でしょう。
しかし、次のような考え方こそが、本質的な読み解きではないかというのです。
ウサギはカメを見ていた。カメはゴールを見ていた』 つまり、カメは、初めからウサギのことなど関係なく、ひたすらゴールに向かって歩いていたのです。それに比べ、ウサギはゴールよりも、カメのことばかり気にしていた。
====京井良彦の3分間のビジネススクールから引用====

こういうことだと思うんですよね。
業績だけで勝負しても不利だと思った僕は、学会や同世代の交流会、異業種交流会、、、
それでも勝ちたいと思って、いろんな場所にでかけましたよ。
自分には時間がないことに焦り、他の人がやらないことにも活路を求めていました。

そうして何百、何千、それ以上の同世代の人達をみて思ったのですが、
同世代の多くは、周りと比べてどれくらい成果があるか、とか、
周りと比較することで(自分や人の)価値を見出そうとする人が多いと思った。
何かをひたむきに目指すより、ライバルとの競争を考えている人が多いと思った。
(実際、心を病む人には、マジメな人や自分と他人を比較してる人が多い印象です)
(もっと言うと、ライバルより成果ないor上司の期待に沿えない思って自己嫌悪とか)
だとすれば、地道に一歩ずつ積み重ねていけば、勝てると思ったのです。
焦るな、愚直にやり続けろ、と。
あの時感じた直感は、僕はカメを目指せばいいということだと思ったのです。

周りの方がずっと進んでいて、かといって周りより圧倒的に能力が高いわけでもない、
ウサギのほうがゴールに近いカメくらいの状況でしょうかね。
競争だけど競争じゃないから、それでもゴールを目指せってのが答えでしょう。
ライバルに勝つかどうか、じゃなくて自分の目標に進めているかどうかが問題で、
ゴールを定めずライバルを見ているやつが相手なら、そのうち追い抜けると思った。


方向性があれば飯が食えると思う
僕はかつてゲームをたしなんでいた時期があって(格別すごかったわけじゃないけど)、
当時の僕は魅せる技とか華やかな動きを凄いと思っていました。
そういう動きを実戦でもできるように練習してたわけです。
(いわゆるネタプレイではなく、カッコよく勝つ的な感じでしょうか)

その時の僕が戦った中で、どうしようもないくらい強いと思った人達は、
決して華やかさがあるとは限らないんだけど、決めるべき場面で絶対に外さなかった
感覚的には、堅いってイメージ。
ちょっとしたことなんだけど、これが決定的な差を作っていると思うのです。
基礎の部分が凄いから、多少のことでは絶対に崩せないし、
崩してもすぐに立ち直って取り返してくる。
僕が目指していたのは実は「うまい」で、それは「強い」とは違うと思うのです。
強いやつは自分の勝ち方を持っていて、弱いやつにはそれがなく、行き当たりばったり。
じゃあ勝ち方ってなんだ!? 「方向性」だと思うよ!?

まがいなりにも本気でやって、負けた経験を思い出しました。
研究を始めて、同世代の多くにかつての僕を見てるように思いました。
華やかさ(評価される成果)を気にするあまり
基礎(決して評価されることない日々の小さな積み重ね)を軽視しているな、と。
将来どうなりたい、どうしたいっていう方向性がある人が少ないのに驚いた。

確かに競争社会ですから、成果は比べられるし、それで評価される。
そこを理解したうえで、あえて競争を度外視して経験を重ねる。
それはゲームと同じだと思った、あの強い人たちがなぜ強かったか、
奇を衒うことするより、愚直に続けた蓄積の方が、相手にすると厄介と思った。
ゲームで僕を打ち負かした強者達の特徴を身につければ、
かつての僕のような人達に勝る、すなわち研究で強い人になれるのではないか、と。

決めるべきところで確実に決めることが大切なのは、仕事でも同じだと思います。
自分にはどんなことがができるのか、方向性を周りに示すものが成果になる。
そこをはっきりさせないまま成果の大きさだけ求めても、どこにも辿りつかないと思う。
物事には段階があって、まず小さくても成果を出し続けられるほうが先で、
大きな成果を狙っていくのは、常に成果を出し続けられる段階になった後でいい。
続けていけは実績になり、実績ができればそこで飯が食えるようになる。
実績というのは続けていった蓄積からくる信用で、まずはこれをとるのが先。
(もちろん、成果は大きくなるならその方がいい)
と考えたわけです。
成果の大きさよりも信用の大きさが人の価値を作っているとみた。

そのためには、ひたすら地味な蓄積を続けるしかないと思ったのです。
信用をつくるステップを一通りやってから成果を大きくすればいいと思う。
多くの場合、目指す順番が逆ではないかと。
なんでそうなるかって言うと、生真面目に先輩らの話を鵜呑みにするからだと思う。
土台が既にあり、それで飯が食えているベテランと、駆け出しはやるべきことが違う。
駆け出しが土台作りをすっ飛ばして成果の大きさばかり追えば、破綻すると思う。
ならば、周りとの競争を度外視して土台作りに励むほうが、後々有利になるだろう、と。


ライバルの数でも力量でもなく、見るべき点はただ一つ、
勝負は能力の高さや条件の有利さや努力の量とかを考える前に
「自分」がゴールに向かって進めてるかどうか、実際にゴールできるか
本質はこっちで、強いことと勝つことは別の話だと思うんですよ。
例えば、歌が上手いからと言って優れた歌手になれるとは限らない、
絵がうまいからと言って優れた画家やデザイナー等になれるとは限らない。
どちらも後者が強い人達となります。
能力があるから目指すわけではなく、目指しているから能力をつけ、その結果勝つ。
それを頭の中に描いたものが「戦略」でしょう。

それを実践した結果、僕は博士号をとるのに人より時間がかかってしまったけど
周りの協力のおかげでいくつか成果を上げることが出来ました(2)
結果だけみれば、はじめは最下位スタート同然だったけど、
それなりの位置までちゃんと逆転したことになります。


勉強熱心な知り合いから、いろいろ提案してるけど上司に却下されるという話を聞いて、
何で却下されるか、僕は蓄積が足りないからだと思い、そう指摘したことがあります。
知識として知っていることと、現場レベルでやったことがあるかは別だと思うのです。
経験したことないことは、次どうするか考えるのは難しいんですよね。
人がやった面白い仕事をみて、これは面白い、真似してみようというのは簡単ですが
それ自体はすでにやられている訳で、それでもやるからには自分の経験、蓄積を足して
もう一歩先まで踏み込む必要があると思うんです。


いきなりトップになることを考えるんじゃなくて、
まずは自分の立ち位置をはっきりさせる方が大事、
(その過程でトップに近づくし、周りと比べて何番目かは大した問題じゃないと思う)
自分の立ち位置(長所等)を知るうえで周りと比較することは必要ですが、
仕事で大切な比較とは、ライバルより先にゴールしたり順位を気にすることではなく、
目指すゴールは人それぞれ同じじゃないことを理解し、
そのゴールを自分で決めることに尽きると思います。

個性を出せ、と業界では言われますが、すなわちゴールの設定=方向性だと思うのです。

人の成果に自分の経験を足すには、ある程度続けてないとできないと思います。
一歩ずつ、できるとこからやるしかないと思うんです。
だだ続けるというのが一番難しいかもしれませんね。

かつての自分と似た状況の人にはこの曲がささるかも笑
博士過程のときの自分の気持ちにすごい近くて、鳥肌が立ちました笑


当然ながら、仕事は一人でできるものではなく、現場で協力いただいた方々は当然、相談に乗ってくれた方やプライベートの部分を支えてくれた方々等、多くの人の協力があって初めてできたことだと思っています。機会をくれた方々に感謝し、更に皆さんの期待に応えられるよう精頑張ろうと思います。

1円から支援が可能です笑。DIYや返済不要の自前の奨学金的等の参考になるかも笑
私の稼ぎが増えたら、Kyashを中心に寄付していこうと思います。持ちつ持たれつ笑

引用等
  1. 『ウサギはカメを見ていた。カメはゴールを見ていた』、京井良彦の3分間のビジネススクール
  2. 神庭圭佑個人ホームページ、研究業績一覧
  3. ユニバース / 夏代孝明(selfcover)、you tube

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